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剱沢大滝届かず

週末は、再び北アルプスへ。

今回は、剱岳の下を流れる剱沢大滝の落ち口を目指すというもの。

剱沢大滝は別名幻の大滝と呼ばれ、そのアプローチ、登攀の難しさで知られています。

過去に、9段あるこの滝の一番下のI滝を目指して剱沢を遡行したことがありますが、まあ、なかなか大変な道のりでした。

前回は下流から、今回は上流から剱岳大滝に迫ろうというものです。

初日の天気は、雨。

なので予定より行動時間を短くして、室堂から剱沢小屋までとしました。

ここでテントを張り、翌朝3時に出発し、雪が軟らかくなる前に剱沢の雪渓を下り、滝の上部までを往復することに。

今回のガイド山行の参加者は他に強靭な男性が二人。体力的に見て、どう考えても私が一番弱い。

剱沢小屋までは彼らに遅れることなく来れたけど、明日のルートは、行きは下りっぱ、帰りは登りっぱ。

この継続的な筋肉への負担が私の行動能力にどう影響するか。。。

その夜、早々とシュラフに入った私達を、強風が襲ってきました。

風を避けるように張ったテントの半分だけに風が叩きつけるように吹きつけます。

運の悪いことに、私が寝ていたのはその風が当たる側。

何度も何度も繰り返し叩きつける風に、殆ど眠れませんでした。

朝(と言うか、まだ夜中の2時)に起きた時、呼吸もなんだか苦しい。

この状態で剱沢大滝まで行ったら、他の人達の足を引っ張ることになる。

ということで、私はここで留守番をすることに。

3時に出発した彼らのヘッドランプの灯りがあっと言う間に真っ暗な谷底に消えていくのを見て、再度確信。行かなくてよかった。

あのスピードでは私は歩けない。

彼らの灯りが見えなくなると同時にシュラフの中に戻り、目を閉じます。

四人で寝ていた時は暑いくらいだったけど、独りになると、あるもの全てを着込んで丁度いいくらい。

皆さん、安全に目的地まで行って、安全に帰って来て下さいと思いながら眠りに戻りました。

その後、何度か目を醒ましながら、最終的に起きたのは確か8時。

辺りはすっかり明るくなって、テントの外では小鳥のさえずる声が。

入り口を開けると、昨日はかけらも見えなかった剱が目の前にどーん と聳えています。

ここから見る別山尾根はとても急で、あんな場所を登れるなんて想像が出来ません。でもそれを登ってしまう人間の足ってすごい。

軽く朝食を済ませ、はて、何しよう。

彼らの帰着予定時間はお昼。それまでまだ時間はたっぷり。

かと言って、独りで辺りをちょろちょろする気にもならない。風は相変わらず強く、気温はさほど低くないけど風にずっと当たっていると体が冷えてきます。

なので。。。

腹筋!

テントの中でできて、上手くやればシュラフに入ったままでもできること。

時々入り口を開けて剱を眺めながら、腹筋を各種(!)

でも、これもじきに飽きてしまい、さあ、次、何しよう。。。

。。。。。寝るか。

こんなに堂々といつまでも寝られることなんて滅多にない。

ということで、シュラフに入り、目の上にタオルを乗せて、鳥のさえずりやら風の音やらを聞きながら、また目を閉じます。

。。。。。おーい、いるかいー?

の声がすぐ近くで聞こえます。

お、もう帰って来た?

時計を見ると、時間は10時半。

何だ、全然早いじゃない。

外にいたのはガイド氏で、下に向かって後の二人にテントの場所を教えています。

ここに上がる斜面がかなり急で、ガイド氏もじきに登ってきたお二人もかなりよれよれ。

それを見て、また思いました。

行かなくてよかった。

この二人がこんな状態なら、私だとどんなことになっていたか。

留守番を選んでよかった。

その後一休みをして、テント撤収、そして室堂に向けて出発。

ここから室堂までは、一旦剱御前まで登り、

雷鳥沢までぐーーーんと下り、

そして室堂まで登り返す、 という、既にお疲れモードの方々には中々厳しいもの。

案の定、男性二人は登りになるとガクンとスピードが落ち、立ち止まることもしばしば。

それでも何とか室堂まで戻り、ようやく一息。

お疲れさまでした。

グループで行動する場合、自分の能力が周りと比べてどうなのかというバランスが重要になってきます。 独りだけ強くても、独りだけ弱くても、その本人も周りの人もストレスを感じることになります。

勿論、全ての人が全く同じ技量と体力を持ち合わせることなどないので、お互いへの配慮と思い遣りというものが必要になってきますが。

今回、私は体力的に一番弱い立場で、更に調子が整わない状態で行ったとしたら、それでも多分、大滝の上まで行けたとは思います。

でもそれは、他の人達から大分遅れ、グループとしてのスピードも落ち、私自身以上に他の方々がストレスを感じた上での到達となり、余りいい思いにはならなかったと思います。

時には頑張らないという判断も必要だなと感じた週末でした。