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ある日突然に

若いころは、小説家とか映画監督になりたい夢があったが、

結局は、その道は険しく、しかも、私にはその才能がないことがわかった。

しかし、最近、お笑い芸人などで、小説を書いたり、映画を撮ったり

する者がいて、結構、優れた作品を生み出しているではないか。

もちろん、彼らは才能があったから、それもできたのだろう。

では、私には、どんな才能があるのか。自分ではよくわからない。

しかし、夫婦の間で起きるできごとについて、会話スタイルで

書いているうちに、ハッと思いついた。

脚本なら書けるかも知れない。少しづつでいい。しかも、案外、

コメディタッチで書ける。さらに私には映画鑑賞という趣味があり、

映画については、ある程度は見識もある。これはいけるかも知れない。

ある日、突然にそういうことを思いついたのだった。

それから、数か月かけて、ちょっとづつ書きためた。

そして、やっと完成した。

さて、題名を何にするか。しばらく考えてみたが、どうもいいのが

思い浮かばない。

「男と女の長い坂道」

うーむ、どこかですでに使われたものをくっつけた感じがする。

「夫と妻の光と陰」

なんだか、安物のハリウッド映画みたいだ。

「家族はつらいよ」

すでに映画化されている。

「妻と罰ふたたび」

やはり、これでいこう。これなら、ドストエフスキー的だし、筒井康隆

でもある。

さっそく、某放送局で募集していた「新人脚本家によるドラマ大賞」に

応募してみた。もし、優秀作になれば一時間ドラマとして、放映されるそうだ。

複数採用するらしいから、かなり可能性も高い。

しばらく待っていたが、なかなか返事が来ない。

ほぼあきらめかけていたころ、電話が鳴った。

「もしもし、こちらは、N局ドラマ担当の者ですが、吉夜夢さんは

いらっしゃいますか?」

「はい、私ですが・・・」

「あなたの応募していた脚本が、優秀作の一つに選ばれました」

「え!? そうなのですか」

「はい、それで、さっそくですが、この夏に新作ドラマとして放映したいので

すが、ご了承いただきたいと思い、お電話さしあげたしだいです。

よろしいでしょうか?

「あ、あ、はい・・・もちろんです!」

「それから、俳優陣についてはこちらで検討しますが、妻役に誰か

 女優でご希望はあるでしょうか?」

「えーとですね・・・できたら、吉永小百合さんでお願いしたいのですが・・・」

「えーとですね、それはちょっと無理だと思います。もうちょっと

 あまり知られてないけど演技派の方はいないでしょうか?」

「うーうーー。」

そこで、目が覚めた。

気が付いてみると、今日はエイプリルフールだった。